音言遊戯館
Дворец игры
звука и слова
音遊戯帖1995.11 -
Тетрадь для игры звука 1995.11 -
はじめに
第一巻、第二巻について
使用したギターの調律の違いによって第一巻、第二巻といたしました。第一巻には12平均律で調律したギターを使用し、第二巻には12平均律以外の音律によって調律したギターを使用しています。
12平均律以外の音律について
現在、西洋音楽を中心とした音楽領域の音律は、12平均律にもとづいたものが圧倒的な優勢を示していますが、この12平均律は作曲家の藤枝守氏によれば19世紀半ばのピアノの大量生産とともに普及したとされ、それ以前まではピタゴラス音律をはじめとする古典音律にもとづいた音律が一般的だったとされています(17世紀には一定の範囲で実用化されていたとする議論もあります)。 どの程度実現されているのかわかりませんが各作品集でギターおよびマンドリンの調律を純正律、キルンベルガー、ヴェルクマイスターといったそれぞれ表記している古典音律で行いました。12平均律と純正律、古典音律の違いの一つに、12平均律がオクターブを12の半音で均等に分割したものであり、オクターブ以外の音程が協和しないためにさまざまなうなりを生じさせるのに対し、純正律、古典音律のほうは、音程が単純な整数比(振動数比)で構成されているため、うなりのない協和する音程(実際は、整数比が複雑になればなるほど、協和性が後退します)を構成するという違いがあるとされています。 12平均律を疑うことすらできないくらい当然のことのように受け入れてしまっている音楽状況に慣らされてしまっている私たちにとって、純正律、古典音律はあまりなじみのない音律と言わざるを得ませんが、一般に「アメリカ実験音楽」と呼ばれる潮流の作曲家をはじめとする「現代音楽」の場等においては、さまざまな音律にもとづいた音楽が試みられてきたといわれます。また、最近では、一部の専門家だけではなく、一般の人々にも少なからず広がってきているようです。 調律にあたって以下の文献、およびサイトを参考とさせていただきました。
参考文献
藤枝守『響きの考古学』音楽の友社、1998年。
平島達司 『ゼロ・ビートの再発見』~「平均律」への疑問と「古典音律」をめぐって~復刻版、ショパン、2004年。
竹井成美『音楽を見る! 教育視点による平均律・五線譜・ドレミ誕生の歴史』音楽の友社、1997年。
参考サイト